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NEw (2008年3月06日 ) 

 新観光戦略/「物語」を発信しアピール図れ

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 「21世紀の公共事業」とされる観光政策が、新たな段階を迎えた。国土交通省が「観光庁」創設の方針を正式に打ち出す一方、観光資源を幅広くとらえて、地域の活性化を後押しする試みが各省で相次いでいる。

 経済産業省は、日本の近代化を支えた各地の産業遺産に着目。「石炭」「ワイン」「港」「近代ホテル」などをテーマにした33の遺産群を認定する方向だ。

 共通する複数の遺産について、地域や産業発展の歴史、先人のかかわりを軸に興味深いストーリーでつづり、周遊コースとして活用を図る点が新しい。

 産業遺産群は全国にわたる。東北関連では松尾(八幡平市)、小坂(秋田県小坂町)、細倉(栗原市)を結ぶ鉱山遺産群、釜石鉱山跡(釜石市)と八幡製鉄所東田第一高炉(北九州市)をつなぐ鉄の国産化をたどる遺産群、常磐炭田跡・八茎鉱山跡(いわき市)と日立鉱山大煙突(茨城県日立市)の常磐地域の遺産群が盛り込まれた。

 世界遺産への登録が決まり、一躍脚光を浴びた島根県の石見銀山遺跡や愛知県のトヨタ自動車の工場などはツアー客に好評で、産業関連の遺産・施設も十分、観光資源になることを実証している。

 ただ、華やかさあふれる首都東京や歴史遺産に恵まれた京都・奈良などとは異なり、単体では吸引力に限界がある。

 経産省の構想は、広域連携とメッセージ性の高まりがもたらす複合効果で、観光的魅力とその価値の底上げを狙う。

 国交省は各地に残る歴史的な建物や城跡などの改修・復元に呼応する形で、街並みを整備する自治体や団体の事業を支援する制度を来年度に新設する。

 また、風光明美な道路を「日本風景街道」として登録し、財政支援を行う。官民の推進組織が既に全国で、続々誕生しているという。

 観光振興策は財政難を反映し、ハコモノ整備から遺産探しへと重点が移った。その点、両省の支援も全国に及び、地域活性化の切り札にはなりにくい。

 差別化を図るため、多彩な広域連携による目をひく「舞台」の設営と、心に響く「脚本」の発信が必要になる。見過ごされてきた街並みや産業遺産から、農山村の景観、生活文化までが観光資源になる時代は、誘客戦略の巧拙が問われる時代をも意味する。

 九州各県の代表者による「九州物語委員会」は、地域の小さな物語でつなぐ九州ならではのテーマ設定のため、1000を超える素材の絞り込みを急ぐという。

 観光のネットワーク化を軸に、トレンドを意識して紡ぎ出す「物語」の発信は、観光地としての認知度を高め、誘客力を増す鍵の一つと心得たい。

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