【解説】

                                               【本紙主幹・山縣 浩】

 

 ■【解説】■2004.9.24

  硫黄島・基地問題から目をそらすな


 硫黄島は、戦後59年経った今でも、硫黄島旧島民は国内でありながら我が故郷にも帰れず、戦没者遺族は、肉親の遺骨収集も道半ばで、悲涙に暮れている。先の大戦で本土防衛のため真っ先に戦場となったこの島は、軍属として徴用された硫黄島旧島民戦没者82名と、日・米両軍合わせて2万7千人もの戦死者を出し、その内、未だ1万1千余柱の日本軍将兵の遺骨が、未収集のまま残され放置されている。政府は、遺骨収集問題を含め、戦後処理問題の一日も早い解決を、改めて考えていく必要がある。 

  現在、取り組みが求められる大きな課題として、硫黄島のNLP問題がある。村は「暫定使用」のまま曖昧な態度を続けている。今求められているのは、“暫定”という解釈を明確に示すことだ。日米防衛協力のためのガイドライン関連法案にうたう「周辺事態」になれば、これまでの軍事協力が大きく変質し、硫黄島基地は米軍のより広範な「世界戦略」に組み込まれる可能性が強い。

 米軍への協力を最優先し、そのために受ける村民の痛みに対して、帰島に向けて何一つ手を打とうとしない国や、消極的な小笠原村の姿勢にも問題がある。犠牲を強いられる島民。とりわけ未だに帰島も許されない硫黄島旧島民や、本土防衛の楯となって尊い命を亡くした島民軍属や旧日本軍将兵の戦没者遺族の苦悩は深まるばかりだ。

 硫黄島基地問題は、観光や経済、環境の議論に隠れて、関係議員の他にはこれまで余り論じられず、表面化されずにきたきらいはあった。が、本来は帰島問題と合わせ、小笠原村にとって国の政策にも直結する重要な問題であることを再認識する必要がある。私たちは、今の平和と繁栄が多くの人々の命の犠牲の上に成り立っていることを、もう一度確認し合いたい。

『他人の犠牲の上に自分の幸福を築くな』という言葉もある。戦闘機の滑走路下に、戦争で犠牲になった戦没者の遺骨を残したまま、「平和のため」の議論はできない。悲しみの硫黄島の海はいよいよ青く深い。将来ここ硫黄島を「世界の平和の発信地」としていくことを多くの人に訴えたい。 


 2004.7.17

◆「壮大な構想の第3次小笠原基本計画」◆ 

  「持続可能な島」実現に向けて、夢の“村づくり”


 小笠原村で作った第3次小笠原村総合計画(平成16年〜平成25年までの10年間)「ダイジェスト版」が7月、全戸配布された。それによると、第3次小笠原村総合計画は、第1次、第2次総合計画の理念を引継いで小笠原村の“望ましい将来計画の実現を図るもの”とし、これからの“村づくり”の施策の基本的方向を示すと共に個々の事業について村の最上位の長期計画としている。

 第1次、第2次小笠原村総合計画では、「豊かな村民生活と活発な経済活動に対応する安全、快適、機能的な村を作るために航空路の開設。観光客の受入れ体制とPR活動の充実を図るために村民総ガイド意識の高揚…」「交流アイランド・小笠原」「エコツーリズムを核とした観光立島」----等々が挙げられている。

  第3次総合計画は、「人と自然が共生する村」「快適に暮らせる村」「活力ある産業で自立発展する村」「全ての人々が安心して暮らせる村」「豊かな心でゆとりをもって暮らせる村」「国民のオアシスを提供する村」の6つを基本目標として揚げている。

 また第3次では 、この目標に基づいて 自然環境を保全しながらエコツーリズムを核とし、生活や産業と共生し、離島振興の世界のモデルとなる「持続可能な島・小笠原」の実現に努めたい。と、言いたいそうだ。

 そう説明されても、この基本計画自体のイメージがいっこうに見えてこない。そもそも、「持続可能な島」とか「自主性と自立性の確立」、「互助と連帯感の確立」----。と言っても一般の村民には漠然としてピンとこない。

 さらに村は、計画実現のためにとして「村民参加システムの確立」「効率的な行財政運営の確立」「職員の資質向上」と3つを協調しているが、中身は極めて抽象的な印象だけが残る。 さすがにここまで来ると、もう何がなんだかさっぱりわからない。

 時代の変革とともに、掲げるキャッチフレーズが 変わってきていることは否めないとしても、はっきり言えば、村民だれ一人としてこの基本計画を額面通りに受け取ってはいないだろう。「なんだかわからないが面白しろそう」なら、まだましだが、「さっぱりわからない」では見込みがない。

 村の描く基本計画の構想は余りにも壮大で、たんなる役人の言葉の遊びを羅列しているだけで、”絵に書いた餅”だと、誰にでもわかる。村民が知りたいのは、村長やリーダーたちは「具体的にどんな“村づくり”をするの?」――という極く単純な思いだけだ。

 多くの村民は決して難しいことを期待しているわけではない。かみ砕いて具体的に分かりやすく教えて欲しいということだと思う。そうであれば、村民自ずからがどう考え、どう行動すればよいのかなどと一方的に決めつけられることなく、理解を示し、自然に参画意識も芽生えてくるに違いない。

 視点を持ち、目標をたてることは正しい。そのこと自体は誠に結構だが、視点は知識と能力、それに少々の熱意と努力でなんとかなる。が、大事なことは一般社会では常に結果の成功(結果責任)を前提に物事を達成することが求められていることだ。

  首長・行政・政治(議員)をはじめ村のリーダーたちが「俺が俺が!」では、いつまでたっても前に進まない。「さぁー皆んなで一緒に前に進もうよ」という心が、先ず最初に求められのではないだろうか。不毛の議論のキャッチボールはこの辺で終りにして、今、村民が何を求めているのかをよく見極め、優先順位を決めて、出来ることから始めてはどうだろうか。


(2003.6.15)

統一地方選

  第7回小笠原村議選を振り返って


 「○○さんをよろしくお願いします」『皆様のために頑張りますーー』」。告示から五日間、普段静かな村は懸命の選挙合戦で盛り上がった。

 で、一夜明けて、わたしたちの新しい選良が決まった。これから四年間、有権者の信託を受けた選良たちにたっぷり仕事をしてもらわなくてはならない。有権者がよく歯ぎしりするニガイ経験だが、あれほど街頭で頭を下げ、「頑張ります」「お願いします」を連呼したはずなのに、ひとたび当選すると、見事に変幻してしまう姿である。

 大都市などではことさらその感は強いだろう。とたんに雲の上なのか、地下に潜行してしまったのか、有権者の目には「勝ち逃げ」した姿としか映らない。姿も影もなし。何をやっているのか、さっぱり見えてこない。熱気を帯びた選挙戦とは裏腹の、存在感すら伝わってこない。これではなんともむなしいではではないか。

 「投資費用効果」という言葉を最近よく耳にする。おカネをかけただけの利益がでるか、投資するだけの利益がでるか、投資するだけの価値があるか、という意味だ。いまや企業は投資費用効果を考えて、設備投資をどんどん削減する。リストラ全盛の時代を迎え、人減らしも止まらない。

 こうした厳しい社会の論理で見たとき、選良たちがそれだけの「価値を」創り上げてくれるか。期待しながらその後を見つめていきたい。


(2003.5.15)

「また朝か」は、もうご免

  村民は議会を鋭くウオッチ


 四年に一度の村議会議員の「審判」が終わった。村民は、村議会、議会に、期待の“ボール”を投げ終えたのである。

 小笠原村が、果敢に取組まなければならない政策課題は山積している。

 新しい議員達は、選挙中、いずれも村民に対し、多くの、「選挙公約」を訴えた。正直言って、村民もリ候補者の選挙公約を丸呑み信じて、票を入れたわけではない。が、アッピールの中身を人柄、情熱なども含め、相対比較して選んだはずだ。やはり、村民の厳しい選別の中で選ばれた「村民の代表」などである。

 日本の首相や議員、特に会社社長は、就任すると、「前任者の路線を引き継いで…」と挨拶するのが、決まり文句だ。己の手堅い実行能力をPRしたつもりなのだろう。

 しかし、欧米各国の彼らが、そんな言い方をしたら、「アノ男はなんだ」となり、物笑いになること請け合いだろう。識見に乏しく、アイデァ不足、即座に失格扱いされてしまう。彼らは「私の任期中に○○だけは何とかやり遂げ、歴史に残したい」と“宣言”するのが常だ。

 厳しい経済不況の大波の中で、いま、どこでも、中小企業者や商店経営者は苦しんでいる。小笠原村の財政は、年々、悪化しており、原点に返って予算の総見直しも不可欠、行政組織のもう一段のスリム化も日程にのぼってくるかも知れない。

 むろん、観光立島への体制整備も緊急の課題だ。全国の各自治体は、いま競って“地域おこし”に火花を散らしており、自治体単位の激しい実力競争を展開している。小笠原村が、この自治体競争の「カヤの外」であっていいはずがない。

 「これだけは成し遂げたい」という政策目標を実現にもっていくには、新議員達も、緊張感と危機意識、それに政治家としてのプロ意識を持ち、まず議論をしながら勉強をすることだ。そして、徹底的に検討を加えることで、知恵を結集することしかない。

 村民は、そうした議員達の躍動する活躍ぶりをウオッチングしている。村民たちの「村政」を見る目も鋭くなっている。「“よし朝だ”というのもあなたの考え次第だ」(ウェイン・ダイアー)。新しい議会と新議員たちは、村民に「また朝か」なんて思わせてはならない。


(2001.4.15)

統一地方選挙 村議選に向けて

 有権者は識見・ 能力見抜け

   「改革」への決意あるか


 改革が問われる中で、自治体が自立して政策行政を推進していく時代を迎え、自治体とその核となる地方議会の役割は、これまでになく重く、かつ厳しいものになった。そんな環境激変の中で迎えた今回の地方統一選挙である。小笠原村議選は、立候補者数が最多の十一人にのぼったが、立候補者も有権者も、「選挙」というものをもう一度しっかり問い直し、それぞれの立場で、「いま何をなすべきか」を考えてみる機会にもしたい。

 一般に選挙というと、毎回繰り返すワンパターンの光景がある。候補者の金切り声の街頭演説。己れを訴え、PRする選挙前の演説だけは、一見、熱っぽく真剣に映る。不思議なことだが、その演説に聴き入る有権者より、実は、演説に無関心もしくは無視して通り過ぎ去る有権者の方が圧倒的に多い。

 そして、いよいよ選挙。マスコミは、当選者とともに、投票率を盛んに問題にする。有権者はどうだったのか。「何も変わるはずがない」と投票所に足を向けようとしない棄権者も多い。投票した有権者も「頼まれたから何となく」「知り合いだったから」と極めて無気力、問題意識を欠いた投票で終わる。

 ひとたび、当選すると、議員は、もう“独り勝ち”。当選前は、有権者の前で平身低頭だった人がひょう変。一年、いや四年間を悠々自適の……議員に化ける。

 熱弁のパフォーマンスだけの演説など必要ない。有権者は、そんなパフォーマンスに惑わされず、候補者の人柄とともに、何を考え、どんな政策ビジョンを持っているかを見抜いて投票するのは当たり前。当選した議員は、政治の世界に就職したのでは決してない。政治そのものの重責を果たすのが、これまた当然のことである。

 が、この「当然」が当然でないところに、残念ながら、わたしたちの国の政治的後進性がある。かってイギリスのチャーチル首相は「政治は、政治家(議員)と国民(地域住民、有権者)が正しく厳粛に向き合ってこそ、内容を高める」と訴えた。

 「正しく向き合う」とは、議員は常に国と国民の将来の行方を考察、それに向けて行動を起こすこと。国民は常に議員に政策を求め、どんな政治行動をするのかウオッチする――ということだ。

 そう考えると、恒例になっている選挙後、投票率だけを問題にする日本的光景も、実はおかしい。投票率は高いに超したことはないが、本来は、有権者はどれだけの問題意識を持ち、適確な人物を選んだか、当選議員は果たして、それに価する人物だったか――という質と内容の問題こそが重要なのである。

 選挙は、当選議席数が決まっているため、当選者は投票数に応じ上から自動的に決定してしまう投票数至上主義である。これも民主政治の限界だが、ひとつの仮想として、“本物”の適格者だけを議員にして、適格者が議席数に満たなくてもそれでよし、としたら、どうだろう。

 農漁業、いや経済界なら、「今年は不作(不漁)、景気が悪いので、収穫や売り上げが不足」など、よくあることだ。

 わが国の地方自治は、首長と議会の両方を住民が直接選ぶ大統領制に近いとされるが、実際の権限は首長が強く、議会は影が薄い。が、議会は、本来、住民の声を聞き、議論をし、政策決定の中核となる機能を持つ。地に足のついた政策決定への「熟慮型民主主義」を実現する役割がある。

 そんな議会を構成する議員は、従って、それに価するプロの議員でなくてはならない。そうした議員を正しく選ぶには、住民も確かな目と意識をもって選別することが急務である。 チャーチルの言葉をかみしめたい。  


(2001.5.10)
 TSL就航 3つの課題解決に英知を

 超高速船テクノスーパーライナー(TSL)の小笠原航路への導入を実現するには、今後、資金面で三つの課題を解決する必要がある。

 一つ目は、おがさわら丸は約六〇億円で建造されたが、小笠原航路向けのTSLは一万五〇〇〇トン級で、建造費は一〇〇億円を超える。燃料を大量に消費するTSLは、運航コストも著しく高い。そこで、国土交通省海事局は二◯◯二年度予算で小笠原向けTSLの建造に対する財政支援の獲得を目指すことになった。これが今年八月、国土交通省の概算要求に盛り込まれれば、あとは今年末の予算編成の結果を待つこととなる。

 二つ目は、海事局は小笠原航路へのTSL参入の前提条件として、おがさわら丸を小笠原航路から外すよう求めている。おがさわら丸には船舶整備公団(現在は運輸施設整備事業団)からの借入金の大部分が残っていて、返済の必要があるので、貸すにも売るにもあまり安くはできない。転用先の候補になりそうな国内の他の航路はいずれも十分に船があるうえ、長びく海運不況と競争激化で経営環境が非常に厳しい。

 しかし、予算がつけば、転用を迫る圧力が高まるのは確実である。小笠原海運の株主は東海汽船と近海郵船だが、東海汽船はこの三月期決算で赤字に転落し、近海郵船は国内最大の激戦区といわれる北海道ー首都圏航路で社運をかけた貨物運賃ダンピング戦争の最中で、両者ともTSLどころではない。おがさわら丸の転用先の決定を求められた場合、小笠原海運側が応じられるか否かがTSL導入の成否を左右することになるかもしれない。

 三つ目は海事局の構想ではTSLの保有、メンテナンス、運航管理を行う株式会社を官民双方の出資で設立することになっている。会社はTSLの船主となり、これを船会社に貸して用船料やメンテナンス代を受け取ることになる。

 海事局は二◯◯◯年度中に会社を設立するする考えだったが、設立に至らなかった。出資を期待される民間企業側は、TSL航路の実現性と持続可能性に懐疑的な海運業界の意見を反映して出資に慎重で、TSL航路の発足の見通しが一〇〇%確実になるまでは出資に応じない構えである。海事局は今では1と2の問題解決を持って会社を設立したいとしている。 

 三つの課題が、あと一年ほどで解決すれば事業が動き出し、やがて小笠原航路にTSLが姿を現すことになる。その時期は海事局の言う二◯◯三年度初めよりおくれる公算が大きい。しかし、課題がなかなか解決しない場合はどうなるか。スーパーマリンガスタービンエンジン技術研究組合が研究費総額二五億円により六カ年計画(一九九七ー二〇〇二年度)で進めているガスタービンエンジンの改良が終われば、TSLの燃費性能が向上し、運航コストが下がる。そうなれば資金面のハードルもいくらか低くなるので、これを織り込んで計画を練り直し、出直すことになると思われる。【山縣 浩】


     

NEW!(2001.4月号)

 扇浦地区整備計画策定

    実施にまでにはまだ前途は多難


 小笠原村振興のため、平成元年に立ち上がった扇浦地区整備計画は、漁業関係の海域権問題や、民間の土地問題等が壁となり遅々として進まず、実施までこぎつけることができなかった。

 同計画の正否は、小笠原村の振興計画の根幹をなすもので、計画の実施の如何が、村の将来の行方を決定づける重要課題となっている。

 宮澤村長は、12年度議会で「扇浦開発は重要な課題。議会からも提言を」と述べ、議会の扇浦地区整備促進特別委員会からも、方向性を明確にして整備を急ぐよう提言がなされた。

 かつて、村は平成10年に第二次検討委員会を立ち上げ、再度計画を練り上げ、平成11年5月には小笠原総合開発審議会からも「この計画で早急に実施すべき」との答申を受けた。12年2月には、付帯意見として実施計画に反映させるため住民による部会を設置。自主研究会を含め7回の部会を開催してきた。

 扇浦地区・マリーナの整備といっても、基本計画の土台そのものに輪郭はあっても具体性に乏しいだけに、実施までまだ先行き不透明なのが実状だ。また、実現性を持たせるまでには土地問題、農・漁業、産業、観光と多岐に渡って問題が山積しており、意見を集約して実施にまでこぎつけるにはまだ前途は多難のようだ。     

                            【山縣 浩】


(3.2)超高速船TSL(テクノスーパーライナー)小笠原航路就航

   環境問題を含め、離発着場の設置場所や建設工費なども課題


 平成8年に研究開発を終了したTSL(テクノスーパーライナー)は、昨年、実験船「飛翔」が上海まで航海した。(静岡県に売却後名前が「希望」と変更されている)当初の計画では2種類の船が検討されていた。 

 TSLの現状については、TSLの実用化によるモーダルシフトの推進・運輸施設整備事業団を活用して、画期的な超高速をフェリーの分野から実用化。それにより、定時性・信頼性の極めて高い超高速海上輸送ネットワークを創出し、モーダルシフトを加速する。(平成12年度要求額 1・2百万円)

 運輸省主導の開発研究(新造船の建造を含む)は、先の飛翔の試験で終了していると考えている。

 TSL構想はもともとトラック輸送を代替する事を念頭において計画されていもので、先ごろ行った長崎ー上海航海も運輸族のデモンストレーションに過ぎず、今後は民間の海運やr運輸業界がTSLを有望と見るかどうかが問題となっている。ただし、小笠原の場合空港整備、機体の確保などと比較して予算規模は小さくてすむ可能性が高く、検討すべき項目ではないかと思われる。

 ただ、新型船の就航は造船会社にしか金が落ちず、建設族のウケは良くない。また前述のように燃費の悪さ、脚の短さも問題となる。「希望」では定員260名、航続距離1千キロ前後(未確認)で、燃料代は約3.200万円で上海往復(およそ200キロ)だから、このまま小笠原航路に就航した場合、燃料代だけで12万3千円(往復)となり、維持費や原価償却、人件費などを考慮すると20万円近くなると予想される。

 飛行機が就航しても同程度の額なるだろうが、ハイシーズン以外にこれだけの金額を出して小笠原に出かける人がどの程度いるのか、環境問題を含め、離発着場の設置場所や建設工費なども課題となりそうだ。                           


(3.2)扇浦地区整備促進特別委員会

   村自立のための重要課題。計画を間もなく示す

     村のコンセプトを確認して整備の実施を急げ


 12月14日(木)に開かれた「扇浦地区整備促進特別委員会」において、平成元年に小笠原振興事業の中で重要課題と位置付けられた扇浦地区整備計画の経過と流れについて村の説明があった。宮澤村長から、「扇浦開発は重要な課題。議会からも提言を」と出され、各委員からは整備の方向性を明確にして整備を急ぐよう提言がなされた。

 小笠原村振興のため、平成元年に立ち上がった扇浦開発計画は、漁業関係の海域権問題や、民間の土地問題等が壁となり遅々として進まず、第一次計画内で実施までこぎつけることができなかった。

 村はようやく平成10年に第二次検討委員会を立ち上げ、再度計画を練り上げ、平成11年5月には小笠原総合開発審議会からも「この計画で早急に実施すべき」との答申を受けた。同年9月には、付帯意見として実施計画に反映させるため住民による部会を設置。自主研究会を含め5回の部会を開催。現在は実施計画策定をコンサルに委託中。12年度内に実施計画が完成する予定となっている。


NEW!(8.11)  横浜−小笠原間の飛行艇就航計画

   定期航空路用の機材としては疑問


 8月、飛行艇により横浜−小笠原間の定期航空路の開設を目指すという航空会社出現のニュースは小笠原村を駆け巡った。しかし、計画を発表した横浜国際航空(エアヨコハマ、本社・横浜市中区山下町、斎藤茂 保社長)の記事を掲載したのは神奈川県版のみで、首都圏でこのニュースを知っている人は少なく、地元小笠原も、その後の反響も盛り上がりを見せてはいない。

 これは、すでに小笠原村が、空港建設の代替え案として、飛行艇の採用を検討し、技術面やコスト面から水陸両用機の導入は困難との結論を出していたためと思われる。

 また、本紙は91年10月号で、短距離着陸機で乗員二人、乗客十四人乗りとして設計中の双発ターボプロップ機「石田TW−68型機」と第二次大戦中に開発の軍用飛行艇を改造した乗員二人、乗客二十八人乗りの「グラマンG111アルバトロス」水上飛行艇を取り上げている。

 その記事で、短距離離着陸機や飛行艇について(1)羽田空港と小笠原を結ぶ航空路への適否(2)安全性(3)事故が起きたときの責任、補償ができる会社なのか−といった疑問を掲載した。

 今回、本紙が改めて取材を行ったが航空関係者は「小笠原との航空路に飛行艇を利用しようというアイディアは素晴らしい。しかし、レジャー便運航は可能と思うが定期便としては難しいのではないか」と話している。

 理由としては、飛行艇は(1)海が少し荒れると離着水ができない(2)波によっては乗客の乗降、貨物の積み下ろしなどに手間がかかる(3)海水が機体構造やエンジンを傷めるために整備に手間と費用がかかり過ぎる−などを挙げた。

 また、運輸省は「事業に飛行艇を使うという申請が出た場合という前提だが、事業用に利用する場合、もしグラマンの機体であれば相当古い機体と聞いているので現在の耐空性基準を満たしているか、対地接近警報装置などが必要機材が装備されているかなどを調査することになるだろう」と話しており、実現までには、まだ、道は遠いようだ。


NEW! (2000.3.25)   

 小笠原村議会   

      期待したい“緊張感”ある議会審議 

 原理原則論が消え失せ、

   本質を懸け離れた議論で終始!


 政策論戦が原点である議会。質疑は議員の力量そのものを問われる。今回の小笠原村議会で、実のある論戦が展開されていたか。答えは残念ながら期待はずれの感が強かった。

 案件の審議の過程で質疑内容を明確にし、実効性を求め、責任の所在をはっきりさせると言う議論が殆どといっていいほどなされていない。例えば、一般質問の中で、硫黄島での6年目に実施する在日米軍の演習に関する問題で、村当局に一片の通知で演習を行う防衛庁の姿勢に対して、小笠原村の基本姿勢すら示せないとは言語道断といわざるを得ない。さらに、この事態を対して問題視もせず、見過ごす議会の役割と責任は一体どうなっているのか。小笠原の将来展望を考えたとき、村民にとってこんな不幸なことはない。

 新年度予算案を巡る村議会での審議の中で、重要案件の審議過程や採決の一幕などはその象徴であった。エコツーリズムによる観光立島。観光振興計画など、ややもすると原理原則論が消え失せ、本質を懸け離れて抽象論に傾きがちになっているのが現状だ。

 例えば、今議会の焦点でもある空港建設問題を始め、小笠原村の将来像をどう作り上げていくのか、といった視点からの政策論争は、ほとんど見られなかった。全体として、緊張感の欠如としか言いようがない場面も少なくなかった。特に、予算委員会での質疑応答の中で、執行部が答弁に詰まって終うと、議員の方から休憩動議が出され、その休憩中に丸く収まってしまうという有様は、村民側から見ると、誠に不可解としかいい様がない。

 特に、村民生活に直接関係する問題には充分な議論を積み重ねた審議をすべきだ。議会と村執行部の境界線が曖昧になり、質疑にめりはりがなくなっていることが、審議時間にも影響している。 村民に夢を持たせ、生活に希望を抱かせるのは議員の重要な責務である。傍聴席が最近閑散としているのは、こんなことも原因に違いない。

(2000.新年号)

   七島信用組合出店問題

【解説】金融機関の誘致はここ十数年来、小笠原村の重要課題の一つに位置づけられている。これまで、富士銀行や七島信組に対して官民一体の誘致活動も展開されたが奏効せず、代わりに農協の金融機能強化が図られたが、九八年頃からは、鯰江満商工会長、宮澤昭一村長が用地斡旋をはじめ数々の優遇措置を提示して再び七島信組への働きかけを強めてきた。

 「都有地の譲渡について」との標題がついた副申書の案文は、小笠原村には郵便局と農協以外に金融機関がなく、経済の制約要因になっていると強調。そこで村が商工団体などと協力し誘致活動を進めて七島信組から前向きの返事を得たが、用地が確保できず出店計画が危ぶまれているので、都が所有する未利用地を適正価格で売り払うよう取り計らってほしいと求めている。

  宛先は石原慎太郎都知事で、発信人は宮澤村長の名義。十一月中に小笠原村役場の総務課から都の労働経済局と総務局地域振興課に送付されており、七島信組・川島菊男理事長名の要望書などとともに、あらかじめ事務方の推敲を受けた上で正式に提出される予定だった。【浩】


“自己決定と自己責任”

 来年四月から施行される地方分権法案は「自治体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うことを目的としている」と説いている。自己決定と自己責任の行政に転換せよと呼びかけている。

 関谷国土庁長官が挨拶の中で述べた「自己決定と自己責任」はまさにこのことだ。 さらに、「小笠原村に飛行場が出来るか出来ないかは、村長仕第」と関谷長官が強調していたが、同法案が施行されれば、自治体(小笠原村)にもこれまでにない多くの権限が移譲され、首長の資質、能力が一段と重要となるわけだ。     

 これからは、自治体(村)も実状に合わなかったり住民の意向と異なる補助行政や法律、通達などに対しては、自治体が異議申し立てができるようになる。法律解釈で対立しても、今までのように、最後は”お上”に従うという慣例も打破することが可能になった。

 財政は厳しいが、来年に迫っている介護保険制度など、村にとって直ちに取り組まなくてはならない課題は山積している。

 住民の暮らしから、島の発展の青写真づくりまで、今までのように受け身で、村の基本構想は”絵に描いた餅”と言われるような、自己決定と実行を欠いた安易な姿勢はもう許されない。                   



【解説】 99年 村長選挙 

    “大化け”する可能性も!  

 現時点で宮川晋、宮澤昭一両氏とも、地縁・血縁による票固めも順調に進めているが、無視できないのは新年度に伴い四月から小笠原に赴任した公務員や、新島民など政治の現状に苛々している不満票と両氏の知名度の浸透していない浮動票約四百票の行方だ。

 現在、有権者数は一千七百六十票(平成八年十月末現在、村選管調べ)。過去三回の村長選のデータから平均投票率を八十%を見込むと、投票数は約一千三〜四百票。当選圏内は六百五十票から六百八十票の獲得がボーダーラインとなりそうだ。

 父島在住の菊池忠彦さん(六五)は、「二人出馬になると、票の行方は全く混沌として分からなくなってくる。いづれにしても、自まえの意見を主張し、政策を着実に実行できる人が村長になってほしい」と話す。 今度の選挙の見どころは、候補者自身の掲げる政策を、どこまで具体化し村民にアピールできるかが焦点となりそうだ。一方で棄権票もかなり出る事も予測され、こうした事から成り行き如何で“大化け”することも有り得る。

 村長選にこういった『投票革命』が起きたら、選挙状況は間違いなく一変する可能性もあることだ。今後、三週間以内に、両氏のどちらかへこの種の“風”が向くかが注目される。                          【山縣浩】


平成9年8月号

 移転資金貸付条例(案)

 「問題が残り認められない」として否決。

 前回の本会議の一般質問で本格的に始まった、移転費貸付条例審査特別委員会(稲垣勇委員長)が、七月二十二日、議会議事堂で開かれた。同委員会は、前議会最終日に宮沢村長より上程された「公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例(案)」を受け、特別委員会を設けて審議するために設けられた。この日、上呈された案件は審議された結果、委員全員が反対し承認されず、否決され次の議会まで持ち越す、異例の空転委員会となった                             

【解説】

 移転費貸付条例審査特別委員会(稲垣勇委員長。以下・委員会)の中で宮沢村長は、移転費貸付条例案は「内容に問題が多い」と自ら吐露していながら、条例案を議会に上程した。これに対し議会では、案件を委員会を設置し、案件を審議した結果「問題が残る条例案で認められない」として否決された。

 「条例案の内容そのものに不備な点がある」などと、宮沢村長が曖昧な答弁に終始したのは、この問題を精査しないまま案件を上程して終ったからだ。村民のためにという基本理念が抜けているゆえに浮上した政策矛盾の現れと、何より自身の政策(ポリシー)の欠如が露呈したといえよう。

 空港問題にしても、公約の「原点に戻って模索する」から、180度ひるがえって「安藤村政の継承」を言うのでは、村民を納得させるというより唖然とさせる。 宮沢村政は、議会幕開けから大きなつまずきを見せ、村政がはじまって以来初めて議会から案件を「否決」されるという、異例の事態を引き起こした。

 委員会を傍聴した島民の一人は「選挙前後ともに、宮沢村長の“場当たり”な言動にはっきり現れており、村長自身の「思想」も「哲学」も一体どこにあるのか感じられない」と、強烈に批判している。

 前号で本紙社説欄で主張していたことと重複するが、移転資金貸付条例案はどうして出てきたのか。村の説明によると、「福祉プラザ」の建設が今年度着工ということで、整備工場との協議の中、資金問題があり、村が融資先を斡旋する方向で動いた。しかし、担保が確保できないので一般の金融期間では無理ということで、この条例案が出る結果となったという。

 しかし、一億円近くの資金が無担保。返済の条件の設定もない。権限はすべて村長にあり、利息も村長が必要と認めるときは減額・免除もできると言う。非常に問題の多い不備な条例だ。

 他の市区町村、伊豆七島にこのような条例が見当たらない。仮に条例が承認され施行するとなると、これによる村の負債は、前向きな産業振興の育成を阻むことになり、将来に渡り村民への影響は大きい。さらに返済の焦げ付きが出たらどうするのか。

 テレビの負担金から、間近に迫る介護保険制度に伴う村負担、その上、多額の貸付金となったら、脆弱な村財政は硬直化していくだろう。

 さらに、本紙でも指摘したように、村は移転費の貸し付けをしなければ、福祉プラザは建設できないと述べているが、福祉プラザを建設することと、移転資金貸付の問題は別である。

 移転資金に関しては、あくまで金融機関の斡旋に努力をすべきだ。でなければ、移転の対象となっている整備工場側にすれば、降って湧いたようにして起きたこの問題について、被る迷惑や被害は計り知れないものになる。              村民全体の負担にしたり、村長の裁量一つに、多大な金額の貸し付の権限を与えることは、財政の健全化を期するためにも避けるべきである。新村長に何より望みたいのは、行政に臨む公正な姿勢と、村づくりへの情熱である。これが無い限り、時と共に慣れはあっても進歩は望めない。               【山縣浩】


戻る